Posts Tagged ‘いじめ防止対策推進法’

スクールローヤーチーム発足のお知らせ

2018-02-05

スクールローヤーチーム発足のお知らせ

本日2月5日、ストップ!いじめナビ弁護士チームの下、スクールローヤーチームが発足しました。発足の趣旨は下記のとおりです。皆様のご意見・ご感想・ご支援を心よりお待ちしています(メール:lawyers@stopijime.org)。

PDFファイルでも公開しております→ スクールローヤーチーム発足のお知らせ20180203

ストップ!いじめナビ 事務局

1 スクールローヤーとは

2017年8月、文科省は、いじめなどの問題の解決にあたり、希望する学校に「スクールローヤー」(「スクールロイヤー」と称する場合もあります。)を派遣する取り組みを開始すると発表しました。2018年度より複数の学校で試験的な取り組みが開始される予定です。

スクールローヤーの位置付けや役割については、出来たばかりの制度ということもあり様々な見解が唱えられていますが、私たちはその位置づけを「場の法律家」ととらえています。校医やスクールカウンセラーと同じく、学校という「場」に奉仕する専門家であり、地方自治体や学校法人の顧問弁護士とは異なる存在です。

2 なぜ「場の法律家」なのか

学校は法律的には不思議な存在です。実は、一般の人が思い浮かべる「学校」そのものには法人格はなく、訴訟の当事者にもなりません。当事者となるのは、公立学校であれば地方公共団体、私立学校であれば「学校法人」と呼ばれる学校の設置者です(なお、学校法人のトップは校長ではなく理事長です。)。

そのため、地方公共団体や学校法人に顧問弁護士が付き、教育委員会を支えたり、学校法人の経営等をサポートすることはあっても、学校で起きる日々の問題に関して直接現場をサポートする法律家はこれまでほとんどいませんでした。

私たちは、児童・生徒や教職員が日々活動し、多種多様な問題が生じる学校現場にこそ、迅速で適切な法的支援が必要であると考えています。

他方で、このことは決して弁護士が校長等の管理職に一方的に味方することを意味するものではありません。学校は、子どもの教育を担う極めて公的な場です。また、学校現場で起きる多くの問題は、教育的配慮と切り離して解決方法を考えることはできません。

学校が子どもの心身の健全な発達にとってふさわしい「場」となるよう、客観性と公平性を以て「場」に奉仕することを使命としつつ、教育の専門家である教職員をサポートすることこそ、法律家が最も効果的に子どもの教育に貢献する方法であると考えています。

3 スクールローヤーの役割

私たちは、スクールローヤーの役割を、学校という「場」を法律的にサポートすることで、学校現場における紛争を予防し、またその対処に当たることととらえています。

日常的に教職員から相談を受けることで、学校現場に生じる様々な問題について、その紛争性を見極め、法の理念に即した指針を提示することができます。また、児童・生徒のみならず、保護者や教職員、関係省庁など、利害関係者が多岐にわたる学校運営に、コンプライアンスの視点を導入することが可能になります。

客観的かつ専門的な視点から、子どもが健やかに成長していくために何が必要かを、教職員・保護者・学校設置者とともに考えていくことにより、公平かつ説得力のある問題解決を実現することが可能になると考えています。

4 スクールローヤーはいじめ問題にどのように役立つか

法の専門家である弁護士が継続的に学校現場に関わることは、とりわけいじめ問題の対応に大きな意義を有すると考えています。

第1に、いじめ問題は、教育の視点からすれば、関与した児童・生徒に対する踏み込んだ教育的指導が求められ、その指導は、信頼を基礎とした未来志向かつ融和的なものでなければなりません。他方で法律の視点からすると、再発防止や紛争の適切な解決の観点から、証拠の信用性を吟味しつつ、事実経過を客観的に認定することが必要となる場面も少なくありません。教育者的視点と法律家的視点がバランスよく求められる点に、いじめ問題の複雑性と解決に向けての困難さがあります。バランスの良いいじめ問題の解決を、教育の専門家である教員のみに求めることは現実的ではありません。法律家が継続して教育現場に関与し、教職員との間で互いの専門的知見に基づき検証することで、教育・法律双方の視点を踏まえた適切な対処に繋げることが可能となります。

第2に、いじめ防止対策推進法は、いじめに対する適切な対処のみならず、いじめの未然防止及び早期発見を重要な目的としています。スクールローヤーは、定期的な未然防止の取り組み(いじめ授業、教職員研修、保護者説明会といった啓発活動など)や効果的な早期発見(いじめ法の趣旨に基づく適切ないじめの認定など)に貢献することができます。

第3に、弁護士は厳格な職業倫理を課せられています。そのため、独立した立場で、いじめ問題に関与するそれぞれの関係者の立場を勘案しつつ、法の理念に従った公平・公正な解決の実現に寄与することに適しています。例えば学校によるいじめの認定やその対処に関し、客観性や妥当性を監査することなどが考えられます。

5 スクールローヤーとしての適性

スクールローヤーは、弁護士であれば誰でもできるというわけではありません。学校は教育機関であり、その究極目標は子どもの健やかな成長です。教育的な配慮・判断に対する理解に乏しい弁護士がいじめ問題などに関与することは、学校に不利なことを隠すとか逆に学校叩きに走るといった、教育的にも法的にも無意味な活動をすることにより、かえって問題をこじらせ、紛争を無用に激化させる可能性すら生じさせてしまいます。

教育という営みに十分な理解と敬意を抱く弁護士がその職務に当たることが求められています。

6 ストップ!いじめナビ「スクールローヤーチーム」の設立

私たちは、これまで数多くの学校からご依頼を受け、様々な形で教育現場に携わってきました。それぞれの学校に個性があり、また一人ひとりの教員が日々崇高な理念に基づき教育活動に携わっていることを十分に理解しています。また、メンバー一同、保護者の子を思う気持ちに寄り添い、児童・生徒が自らの可能性を広げ成長していくことを全力でサポートし続けたいと願っています。

我が国のスクールローヤー制度は新設されたばかりです。これから学校現場に導入され、試行錯誤のもと具体的な運用が作られることとなります。初めに方向性を誤ってしまうと、望ましくない運用が定着し、意義の乏しい使い勝手の悪い制度となってしまいます。制度に魂を入れるものは人です。新たな制度が導入される当初こそ、制度のあるべき理念を掲げ、学校と一体となって制度の発展に献身する弁護士が必要です。

今般、我が国にスクールローヤー制度が導入されるに当たり、メンバー各位の経験を活かし、制度の発展に寄与するために、ストップ!いじめナビ「スクールローヤーチーム」を設立することといたしました。今後の活動として、スクールローヤー制度に関する提案、メンバーの学校現場への派遣、シンポジウムやセミナーの実施などを予定しています。

スクールローヤー制度の意義と私たちの理念に賛同してくださる学校関係者の皆様とともに、一同尽力してまいります。多くの皆様のご支援を賜れれば幸甚です。

2018年2月吉日

ストップ!いじめナビ 弁護士チーム 一同

 

■こちらの活動に関するご支援のおねがい
http://stopijime.org/?page_id=27

 


【代表コメント】取手市のいじめ自殺の対応について

2017-06-08

茨城県取手市の中学生のいじめ自殺に関係した学校、教育委員会の対応に関して、代表の荻上が、レギュラーのラジオにて、コメントを出しましたので、ここにご紹介いたします。

*********************

2017/6/5(月曜日)TBSラジオ『荻上チキ・Session-22』(平日22時~)
「ディリーニュースセッション」

下記コメントの音声を、以下のSession-22のサイトからお聞きいただけます。
https://www.tbsradio.jp/153512

*********************

「茨城県取手市の中学生自殺、中学校は「重大事態」と報告していたことが明らかに」というニュースについて、メインパーソナリティの荻上チキがコメントしました。

=====================

(荻上)繰り返しになるけれど、繰り返さないと伝わっていかないので、何度もお伝えします。

いじめ防止対策推進法というものができました。その法律ができたことによって、各自治体や学校などは、いじめ対策などに対して組織だって対応しなくてはならないことになりました。

この法律の画期的なことの最大の一つに、学校の教師は、担任一人でいじめ対策をしてはいけない、それをしたら違法であるということになった、ということがあります。罰則はありませんが、違法状態になるわけです。

学校で適切なチームをつくって普段から対策に取り組むことについては、いじめ防止対策推進法で「22条委員会」と言います。なぜならば、法律の第22条に、いじめ対策のための組織を学校は設置しなければならないと書かれているからですね。この委員会は、日常的に設置しなくてはいけない。なにかがあったとき、いざという時に情報共有をしていく組織が、その22条委員会なんです。

また、同じ法律の28条に「重大事態の対処」について書かれています。重大事態が発生した場合は適切な支援をするために、学校は組織を作らなくてはいけないといっているわけですね。つまり、重大事態になったら、先ほどの22条委員会とは別に、別の組織をつくらなくてはいけない。

22条委員会はいじめ対策常設チーム、28条委員会は、○○さんのためのいじめ解決チームみたいなもの(名前はなんでもいいのですが)が、動かないといけないわけです。

「重大事態」とは何なのかというと、「生徒が自殺をしたケース」ではありません。そのはるか手前、生徒の生命、心身、財産に重大な被害が生じた「疑いがある段階」なんです。つまり「疑い」なんです。だから、子どもがSOSを発信している、もう学校に行きたくない、耐えられない、という時点でそれはもう重大事態なんです。

そりゃそうですよね、だって、学校も来れないぐらいおびえている、追い詰められているわけですから。あと一歩で不登校になるかどうかと心配される事態なわけなんですよね。そういうことは、そこから重大事態と設定して「大丈夫だよ」「先生がいまからチームで調べるからね」と伝えて動く。その間「学校に来れないようだったらプリント持っていくからね」とか、「別の教室で教えるからね」とか、あるいは「今日ヒアリングをして、そのことをちゃんと報告するからね」とか、そういうような対応をしなくてはいけないわけですね。

そういった重大事態のチームを設置した場合には、まず調査を行います。調査を行ったうえで、児童生徒とその保護者に対して適切に情報を提供しなくてはならないことが法律に書かれています(第二十八条2項)。そうした調査に基づいてさらに必要な指導を行うことになっているのですね。つまり、この場合において、重大事態というものは学校側が認定して調査をすることになっているんです。

それを今回、取手市の教育委員会が「いじめに該当しない」となぜ決議したことについては、法律上もよくわからないんですよ。だから、女子生徒の母親が何の権限があって教育委員会が該当しないとしたのか、と言っているのですが、その通りなんですね。

法律にもありますが、重大事態と認識した時点で、学校が適切に動かないといけなかった。この点で、学校の問題がまずあります。それに対して教育委員会に報告しても「重大事態にあたらない」という。教育委員会が現場のことをわからずに、いじめとは当たらないというのはなぜなのか。現場が重大事態と報告しているものについて「違うよ」というのはなぜなのか。その理由が隠ぺい以外に思い浮かばないんですね。

隠ぺい以外のケースがあるのだとすれば、いじめの定義がものすごく厳しすぎる自治体なのかと。このぐらいだったら学校のいじめとは言えない、といった偏見が考えうる。あるいはもう一つの可能性として、法律の解釈がものすごく間違っているか、無知か、ですね。

重大事態という単に言葉の意味だけとらえて、そのぐらいだったら何とかなると考え、重大事態ととらえなかったなど、いろんなケースがあって。そこで、あっそうか、隠ぺい以外の可能性もあるなと思ったわけです。まあでも、そのようなことを思われても仕方がないということだったんですね。

というわけで、学校側そして自治体側が適正な対応をできなかったのか、これからどうすれば適正な対応ができるのか、しっかりとした検証報告を出すために、第三者の専門家を入れて、自治体の活動などをチェックするべきです。その報告書をつくる第三者が本当の第三者でなければいけません。いじめについて詳しくないといけません。

本当の第三者というのはもともと自治体の顧問弁護士とか仲のいい弁護士をとりあえず呼びましたというのではだめなんです。なのでいろんな点を含めて検証しなくてはいけないことが明らかにあるので、そのあたりについても徹底的に、中から問題を発見してアピールしてほしいなと思います。

(以上・ストップいじめ!ナビにて書き起こしを行い、一部編集しています)

 

【参考資料】

いじめ防止対策推進法(文部科学省ウェブサイト)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1337278.htm

いじめの防止等のための基本的な方針(文部科学省ウェブサイト・平成29年3月14日改定)
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/04/05/1304156_02_2.pdf

いじめの重大事態の調査に関するガイドライン  (文部科学省ウェブサイト・PDF:274KB)
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/03/23/1327876_04.pdf


【講演報告】東京城北地区中・高校補導協議会研修(真下麻里子)

2017-01-19

2017年1月14日、「ストップいじめ!ナビ 弁護士チーム」の弁護士真下麻里子が東京城北地区中・高等学校補導協議会にて、同会所属の教職員の方々に向けて講演いたしました。

講演内容は、「いじめ防止対策推進法の活用方法」と題しまして、現場で法的リスクに注意を払うための具体的な方法やいじめ防止対策推進法の活用例についてです。

2時間という比較的長い時間ではありましたが、多くの方々が最後までメモを取る手を止めることなく聞いて下さり、実際に現場で起きる「いじめ」と評価するのが悩ましい事態などについても質問が出るなど、活発な議論が行われる場面もありました。

「ストップいじめ!ナビ 弁護士チーム」としましては、これからも積極的に講演活動を行っていく予定です。

【出張講演や講座のご案内】http://stopijime.org/?page_id=205

20170114真下補導協会

 


Copyright(c) 2014-2018 stopijime.navi All Rights Reserved. Design by Cloud template